避難が遅れてしまう意外な原因とは?

2014年10月23日

津波画像

避難が遅れてしまう原因

地震や津波などの災害が起きた時、すぐに避難に移れる人というのは多くありません。
それは、パニックに陥るからではなく、むしろ逆に落ち着いた心理状況下でこそ起こっていました。 では、いったいどういう状況なのか具体的に説明いたします。

正常性バイアス

「バイアス」は偏見、先入観といった意味です。
正常性バイアスとは多少の異常事態が起こっても、それを正常の範囲内と判断し、心を平静に保とうとする働きのこと。 簡単に言えば「自分だけは大丈夫だという」根拠に欠ける思い込みを指します。
人は、異常を認めれば行動を起こさなければと考えられますが
異常を認識せず、正常の範疇と認識している間は何もしなくていいと考えてしまう。
事実、東日本大震災でも、7割もの人が津波が迫っているにも関わらず
自宅から逃げていなかったという例があります。
「大きな津波は来ないだろう」という正常性バイアスが働いたことも
その一因と考えられています。

多数派同調バイアス

過去に経験した事の無い異常事態が突然身の回りで起こった時や、
どうしていいかわからない時にその周囲に存在する人が多く行う行動に引っ張られてしまう働きを指します。
つまり迷った時に周囲の人の動きを探りながら同じ行動をとる事が安全であるという考えに陥ってしまう。
韓国のセウォル号の沈没事故においても「その場にとどまって」
とのアナウンスに従った結果、多数の犠牲が出てしまいました。
特に「空気を読む」という文化が根付いている日本人には強く認められる働きであるため注意が必要です。

凍りつき症候群

心理学者の研究によると、運悪く不意の災害に見舞われた時、人の取る行動は大別して次の3つに分かれるそうです。

1.落ち着いて行動できる人=10~15%
2.我を失って泣き叫ぶ人=15%以下
3.ショック状態に陥り呆然として何もできない状態になってしまう人=70~75%

大多数の人が発災時にショック状態に陥り、呆然として何もできない
「凍りつき症候群」と呼ばれる状態に陥るというのです。
これは、目の前の経験したことのない事象の急激な変化・展開についていけず、
脳の認知的情報処理機能のプロセスが混乱し自己コントロールを失ってしまう。
言わば脳が空転状態のため思考は、停止、または拡散し焦点が定まらない状態に陥る。
その結果、心・身体・行動も凍りついたような状態に陥ってしまうのです。
突発的な災害や事故に遭遇したとき、脱出や避難できるチャンスが十分にあるにもかかわらず、
避難が遅れてしまう主な要因は、これによるものもあると考えられています。

まとめ

「災害時はパニックを起こさない事が大事」というのはよく耳にします。
しかし、パニックを起こさないからといって上記の様な心理状況下に入っていしまうのも問題です。
これらを事前に知っておき、普段から、避難経路や、非常事態時の行動を自分でシミュレーションする事により
パニックにも上記のバイアスや症候群にも陥らず冷静に行動が取れる様になるそうです。
常日頃から心がけておく事がやはり大切なのですね。

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